介護施設でのストーマケア

介護施設で行われるストーマケアの特徴や注意点をまとめています。ストーマケアは医療行為に含まれるため、介護職員ができるケアの範囲をあらかじめ確認しておく必要があります。これからストーマケアに携わりたいと考えている人に向けて転職活動のコツも紹介していますので参考にしてください。

今後の課題

認知症患者が増加している今だからこそ


認知症の高齢者へのケア

認知症の高齢者へのケア

ストーマケアで難しいのは、認知症の高齢者へのケアです。現行のストーマ装具は排せつ口の取り扱いが難しく、認知症ではない高齢者でも苦労することがあります。そのため、もっと簡単に扱えるストーマ装具や排せつ方法の開発が期待されます。また、衣類が排せつ物で汚れるというのは認知症のサインであり、こういったサインを集積して認知症の早期発見が可能となるような評価ツールがあれば、セルフケア能力の判断がしやすくなるでしょう。
ただし、認知症でストーマを保有している高齢者の状態は様々なので、「このようにすればOK」という明確な指針を提示するのは難しい傾向にあります。個々の状況に応じて、「目標をどこに設定するか」「妥協点はあるか」「ケアをよりシンプルにできないか」を考える必要があります。例えば、ある利用者の目標が「便出しができるようになること」だったとします。しかし、認知症が進行してだんだんできなくなっていく可能性があります。その際に介護者は、「自分の指導が悪かったのではないか」「もっと簡単に扱える装具を利用すればよかったのではないか」といった悩みを抱えがちです。しかし、その答えは本人も介護者にも分かりません。そのため、ストーマケアへの介入について、ある程度の標準化が求められます。

個々に応じたケアを

在宅の状況に応じたケアも重要です。例えば、訪問看護が週に3回入るとして、本人は自力での便出しが可能なのであれば、週3回装具の張替をする生活を送ります。そこで考えるべきなのが、「そのサイクルに最も適した装具はどれか」「クローズタイプで毎日交換するのであれば、それが可能な介護者は誰か」などといったことです。
これまでのストーマケアは、本人の残存機能を活かしながらセルフケアに徹してもらうことを前提としていました。しかし、認知症を患っている場合は治療をしてもなかなか改善されない可能性があります。そのため、認知症の高齢者に関しては残存機能とケアの介入に対する考え方を今一度考え直す必要があります。
一方で、認知症ではない高齢者からは、「排せつ物の処理は自分でやりたい」「認知症になったとしても、できる限りセルフケアをしていきたい」という声も多く挙がっています。このように、今後の管理に不安のある認知症ではない高齢者に対しては、家族を巻き込んでストーマケアを実施する機会を設ける必要があります。本人のセルフケアが追い付かなくなっても、家族が対応できるように準備しておくのです。自分の家族であれば、高齢者の心理的負担も少ないでしょう。そのためには、家族単位でストーマケアの指導をする必要があります。

適切なストーマケアの実践を目指して

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