介護施設でのストーマケア

介護施設で行われるストーマケアの特徴や注意点をまとめています。ストーマケアは医療行為に含まれるため、介護職員ができるケアの範囲をあらかじめ確認しておく必要があります。これからストーマケアに携わりたいと考えている人に向けて転職活動のコツも紹介していますので参考にしてください。

ストーマ造設を行う疾患とは?

ストーマ造設の対象となり得る疾患


消化器の疾患(消化管ストーマ)

消化器の疾患(消化管ストーマ)

消化管ストーマを造設する場合、永久的なものか一時的なものかで内容が変わります。永久的な消化管ストーマ造設の対象となるのは、肛門管の周囲に悪性腫瘍があり、自然肛門による排せつが困難な場合です。一時的な消化管ストーマの場合、病変部や手術による影響で排せつ物が吻合部に触れることを避けるために部位よりも口側に造設されます。縫合不全が予測される場合や全身状態が悪い場合に造設されるケースが多いようです。また、大腸がんの影響で通過障害が予測される場合に、腸管の減圧目的で造設されることもあります。
疾患例としてまず挙げられるのは「直腸がん」です。進行性の直腸がんで肛門括約筋まで進行している場合は、人工肛門の増設が必要です。次に「潰瘍性大腸炎」です。代表的な症状として粘血便を伴った慢性の下痢があり、内科的治療では改善が見込めない場合に結腸全摘出と回腸ストーマ造設が行われます。「クローン病」もストーマ造設の対象となります。若年に発病する慢性特異性炎症疾患であり、口から肛門部にかけて病変を有します。保存的治療として栄養療法やステロイド剤投与などの薬物療法が行われますが、これらの保存的治療では改善が見込めない直腸肛門狭窄や直腸腟瘻への処置としてストーマ造設が実施されます。

泌尿器の疾患(尿路ストーマ)

尿路ストーマ造設で代表的なものとして挙げられるのは、回腸導管造設、尿管皮膚瘻造設、禁性人工膀胱造設です。腎盂、尿管、膀胱、尿道のいずれかに異常や機能低下が見られる際に、尿の排出経路を確保するための尿路変向術が行われます。
疾患例としてまず挙げられるのは、「膀胱がん」「尿道がん」です。膀胱がんの中でも、筋層以上に浸潤が見られる浸潤性がんになった場合には、膀胱の一部切除や全摘出が必要となります。全摘出となった場合、前立腺や尿道、女性は子宮や膣前壁の一部も合併切除されるケースが多いため、尿路変向術が必要となります。同じく、浸潤性の尿道がんになった場合も尿路変向術が必要なため、尿路ストーマ造設が行われます。「前立腺がん」でも尿路ストーマ造設を行うことがあります。移転のない前立腺がんであれば手術後も膀胱機能が失われないので尿路変向術は適用されませんが、進行性で膀胱への浸潤が進んでいた場合には尿路ストーマ造設が必要になります。
この他にも、「直腸がん」「結腸がん」「子宮がん」などの他臓器がんによる尿路圧迫や浸潤により、尿路ストーマ造設が必要になるケースも少なくありません。

適切なストーマケアの実践を目指して

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